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東京地方裁判所 昭和58年(特わ)107号 判決

本店所在地

東京都中央区日本橋茅場町二丁目七番六号

千代田鋼鉄工業株式会社

右代表者代表取締役

坂田米蔵

右同

坂田正孝

本籍

東京都文京区千石三丁目一番地

住居

同都港区赤坂八丁目六番三一号

赤坂アーバンライフマンション七〇六号

会社役員

坂田正雄

大正四年一月一日生

右の者らに対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

一  被告人千代田鋼鉄工業株式会社を罰金五、〇〇〇万円に、被告人坂田正雄を懲役二年にそれぞれ処する。

二  被告人坂田正雄に対し、この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人千代田鋼鉄工業株式会社(以下「被告会社」という。)は、東京都中央区日本橋茅場町二丁目七番六号(昭和五七年一月一日以前は同区日本橋茅場町二丁目二番地)に本店を置き、製鋼圧延・鍍金加工業等を目的とする資本金六、〇〇〇万円(昭和五七年六月一五日以前は四、五〇〇万円)の株式会社であり、被告人坂田正雄(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上し、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五三年一二月一日から同五四年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一三億九、八五九万三、七六七円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五五年一月三一日、同都中央区日本橋堀切町二丁目六番九号所在の所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九億二、〇三八万八、四九九円でこれに対する法人税額が三億四、九八九万一、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五八年押第三八八号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五億四、一一七万三、三〇〇円と右申告税額との差額一億九、一二八万二、〇〇〇円(別紙(二)税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書六通

一  被告人の収税官吏に対する質問てん末書三通

一  高橋亨(七通)、佐藤昭三、弭間辰男、小林陽子、小林裕樹(二通)、村上久夫、坂田米蔵(二通)、吉沢一三(三通)、堀内茂、馬場光雄、山本修三(二通)、春川佐太男、春原久敏、宮下昌久の検察官に対する各供述調書

一  坂田翠子の収税官吏に対する質問てん末書二通

一  登記官作成の登記簿謄本

判示各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)修正損益計算書の公表金額につき

一  押収してある法人税確定申告書一袋(昭和五八年押第三八八号の1)

判示各事実ことに別紙(一)修正損益計算書中の各当期増減金額欄記載の内容につき

一  収税官吏作成の鋼屑簿外売上調査書(別紙(一)修正損益計算書の勘定科目中〈6〉。以下調査書はいずれも収税官吏が作成したものである。)

一  期末たな卸調査書(〈8〉)

一  仕入調査書(〈10〉)

一  架空仕入調査書(〈14〉、〈15〉)

一  給料調査書(〈18〉、〈45〉)

一  簿外交際費調査書(〈46〉)

一  寄付金調査書(〈66〉)

一  減価償却(特別償却)調査書(〈68〉)

一  簿外受取利息調査書(〈69〉)

一  交際費損金不算入調査書(〈80〉)

一  繰越欠損金調査書(〈88〉)

一  大蔵事務官作成の証明書(〈68〉、〈88〉)

一  収税官吏作成の査察官報告書(〈14〉、〈15〉)

(法令の適用)

一  罰条

(一)  被告会社

昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

(二)  被告人

行為時において右改正前の法人税法一五九条一項、裁判時において改正後の法人税法一五九条一項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)

二  刑種の選択

被告人につき、懲役刑選択

三  刑の執行猶予

被告人につき、刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑、被告会社につき罰金六、〇〇〇万円、被告人につき懲役二年)

出席検察官 五十嵐紀男

弁護人 村藤進(主任)、天野憲治

(裁判官 羽渕清司)

別紙(一)

修正損益計算書

千代田鋼鉄工業株式会社

自 昭和53年12月1日

至 昭和54年11月30日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二)

税額計算書

千代田鋼鉄工業株式会社

〈省略〉

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